「俺はいつお前を好きになったんだ?」
声に出したつもりはなかったんだけど、横でそれを聞いたらしい千石がヒドイ!と大げさにリアクシ
ョンして見せたから、やっぱり声には出ていたのだろう。
けど、なぁ。
気が付いたら好きになってたんだ。
ひどいも何もあったもんじゃない。しかも俺的には、自分は地味で普通だと思っていたのでその思い
に気づいた時には自分に向かって詐欺だ!とか言いたくなった。
まぁ、実際にはそれどころじゃなく悩んで、結局は今にいたっているわけなのだが。
どうやらそんな葛藤も何もかも、千石は当時から気が付いていたらしい。
最近そのことに気が付いて、「どうして気づいた?」などとその理由を聞いたらば「だってずっと俺
南のこと見てたもん」などと返ってきて、それはそれで少し嬉しいなどと思ってしまった。
その頃にはすでに俺への恋心を募らせていたらしい千石は毎日気持ちを隠すのが大変だったと大げさ
に溜息を付き、なぜかジュースまで代償として奢らされた。
・・・思い返すと何だか理不尽だ。
大体、千石の想いに気付いていなかった俺がいうと説得力にかけるが、普段の彼は気持ちを抑えたり隠した
りしているようには見えなかったのだ。
そういうと「南はニブスギ」と速攻で返された。
まぁ、時々
遠くを見つめる瞳には気が付いていたからそんな“遠く”ではなく近くにいる自分を見てくれるよう
になった今には(言葉には出さないが)満足していたりする。
もちろん、そんな心の内を教える気は更々なかった訳で、今でも千石はそんなことは知らないだろう
。
でも、分からないものは分からないんだよなぁ。
「だって千石だし。どうして俺はお前を好きなんだ?」
「・・・さっきから少しひどいよ南!いくらなんでもキヨスミくんは傷つくよ?」
「あ?俺また声に出してた?」
「ばっちりと!出てました!!」
「ちょっと気になって、さ」
そう言うと僅かに千石の顔が曇る。
「もしかして、後悔してるとか?」
こいつにしては小さな、蚊の鳴くような声を出して。
俺がびっくりして千石をまじまじと見ると、恥ずかしくなったのか瞳は寂しげなままでなんでもない
!と勢い良く俺から遠ざかろうとした。
とっさに出る手。
だって千石にこんな顔をさせたかった訳ではない。
「南っ!?」
急に後ろから抱き寄せられた千石はそれこそびっくりしたような声を出した。
「あのな、気になっただけだって」
すっごくお前が好きで、なのに何でその思いに気づかなかったんだろう、とか。
きっともうお前のこと離せないな、などと思ってしまって自分でもびっくりしてるんだ。
「だから、気にするなよ」
「・・・・・・」
気づいた時は大変だった。
だって、男だし。
千石だし。
迷惑よくかけるし、うるさいというよりはウザイと思うことすらあったし。
甘えん坊だし。
よく拗ねるし。
で、やっぱり千石だし。
まぁ千石だからこそ好きになったんだろうけど。
「でもこんなに好きだって思ってるのによく自分で気が付かないでいられたよなぁ」
でも気づいた時には気持ちは抑えられないほど大きくなっていて、引き返すことなんてできなかった
んだ。
「南、また声に出てる」
オレンジの髪が揺れて、耳を真っ赤にしたまま千石が拗ねたように呟いた。
まぁ、これはきっと照れ隠しだろうけど。
「声に出すつもりはなかったんだけどな」
苦笑を滲ませて言うと今度こそ千石は拗ねた顔をした。
何でだ?
「たまには!そうやって声に出してよ!!」
「え?」
「南は言わなさすぎ!!」
「そうか?」
自覚はあるけどな。やっぱり理性が邪魔をするというか。
常識人ですから。
「だっていつも南優しいけど、言葉にしてくれないし!清純くんはちゃんと迸る愛を言葉にしてます
よ?」
「頼むから時と場所を考えてくれ・・・」
「南は二人きりでも言ってくれないじゃん!」
「そうだっけか?」
「そうです〜。たまにくらい俺に向かって甘い言葉の一つや二つ・・・」
「お前でもあるまいに」
「その考えはいかんよ!愛を深めるには甘い睦言も必要ヨ?」
言葉が飛ぶ度にオレンジ色の髪が光を弾く。ふわふわと揺れるそれに、触りたい衝動をこらえた。
以外にも猫っ毛のそれは触り心地が良いから曲者だ。
「甘い睦言、ね・・・例えば?」
「そう、例えば・・・」
「千石、好きだよ」
とか?おどけて続けてみたが、元からほとんど抱きしめた状態での会話だったのだ。
寄せた唇が最初に紡いだ言葉は、まるで狙ったように千石の形の良い耳に注ぎ込まれる形になった。
「・・・・・・ッ!?」
途端に千石の顔が真っ赤に染まった。言葉もなく口をぱくぱくと動かす様に思わず口元に笑みが浮か
ぶ。
・・・面白いかもしれない。
後ろから俺に抱きしめられたまま必死に言葉を紡ごうとする彼が余りにも可愛かったので。
何て理由を頭に浮かべたりして。
そうでもしないと、時々捨てたくなる(じゃないと俺が部長なんてやってられないんだよ)理性が邪魔
したりするから、変に自分に言い訳めいたことを思ってしまう。
しまいには、見下ろした先、言葉にならずにうーうー唸る様すら可愛く見えてきて、俺はそっとその
赤く染まった頬に唇を滑らせた。
柔らかくて暖かい、その感触。
俺は零れる笑いを見た目通りふわふわしているオレンジ色の髪に落と
した。キスするように髪に顔を埋める。
吸い込むと広がる、千石の匂い。
「あ〜、やっぱお前好きだわ。これは仕方がないな」
笑いに紛れて本音を落とすと、最後の抵抗とばかりに揺れていた猫っ毛がぴたりと止まった。
おそる
おそる振り返る頬は鮮やかな髪の何倍も赤い。
それがおかしくて抱きしめる腕に力を込めてみる。
「おや、どうやら今日は思っていることが全て言葉になってしまうようですな」
「確信犯デスカ」
千石がくてりと静かになる。
ついでに預けられた体重を俺はくすくす笑いながら受け止めた。
††おまけ††
「教えてあげようか?」
「へ?」
「南がいつ俺の事好きになったか!」
千石が、いたずらっ子のような目で俺を見た。
「俺と南は生まれる前から恋することが決まってたんだよ。だから、出会った瞬間に二人は恋に落ち
たのです」
「・・・・・・」
ツッコミどころは一杯だったのだけれど、そういう千石の嬉しそうな顔を見ていたら、それが真実で
もいいような気がして。
ね、どうよこれ!そう聞いてくる瞳に、
「なるほど、運命のなせるわざでしたか」
共犯者の気持ちでそう繋げていた。
いつからなんて関係ない。
だって俺は、それくらい君のことが好きなんだ。

題名は後から適当に付けました(爆)。
とある疑問と砂糖菓子のような回答、その名の通り、過ぎた甘さに砂を存分に吐けることと思います☆
・・・南と千石が別人28号なのにはご容赦を。自分の中の二人で突っ走りました。
でも、毎回書く度に性格も設定も違うの(駄目じゃん)。
そして、いきなり山吹ssが来たことに皆様驚きかと!!
・・・無節操ですみませんm(_ _)m
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